扁桃凝固術

扁桃と陰窩

扁桃は口から咽に入る途中に、左右1個ずつあります。桃の実の種のような形をしているので、扁桃といいます。扁桃には陰窩という窪みあり、実質内までつながっています。途中で枝分かれしているものもあり、そのため扁桃は、非常に表面積が広くなっています。しかも、上皮の直ぐ下にはリンパ濾胞という、免疫細胞の集合体がありますから、侵入してきた病原体を迎え撃つには合理的な形となっているといえます。扁桃と陰窩

しかしながら、ここで出来た抗体やリンパ球が本来病原体に向けるべき攻撃能を、自分自身の組織に向けて発揮してしまったり、陰窩に病原体や白血球の死骸や剥離した上皮が貯まってしまったりという不都合も起こってしまいます。陰窩に貯まったものは、黄白色の粘土のような見た目で、悪臭を放つ塊で、膿栓といわれます。膿栓は無症状である事が多いのですが、時に口の中に剥離して、指でつぶすと嫌な臭いがします。俗に、"臭い玉”といいます。膿栓

従来より、頻回に扁桃が化膿して腫れたり、扁桃が原因で高熱が度々出る場合、病巣感染症といって扁桃で出来た免疫複合体が、腎臓、皮膚、関節など他の体の他の部分にまで悪さしてしまう場合には、扁桃摘出術(扁摘)といって扁桃を根こそぎ取ってしまう手術が行われています。効果は確実ですが、2週間近くの入院が必要で、術後の痛みも強いのが欠点です。

扁桃凝固術とは?

当院においては、比較的軽い慢性扁桃炎や膿栓症の方には高周波による扁桃凝固術をすすめています。この術式はあまり一般的ではありませんが、局所麻酔の日帰り手術で、術後の食事制限などもあまりなく、術後の痛みや出血も少ないという利点があります。

手術の実際ですが、表面麻酔、粘膜下への注射による麻酔の後に、陰窩へ金属の棒状の電極を差し込み、高周波という電流を10秒程度流して焼灼・凝固します。これを、目立った陰窩、それぞれに対して行います。 扁桃凝固術

術後は1日程度で扁桃からの分泌物で扁桃は白く覆われますが、腫れはそれほど強くなく、飲食も出来る程度です。分泌物と術後の腫れは、数日で引きます。

術後は扁桃のボリュームが縮小し、陰窩が浅くなります。 術後

出血や術後の腫れは比較的少ないとはいえ、皆無ではありませんので、無理をせずに何回かに分けて手術をすることもあります。

この場合は、初回の手術から2〜3週程度は空けて、縮小の程度をみながらということになります。

1回で終わる扁摘より煩わしいという考えもありますが、症状などもみながら効果を調節できるのは扁桃凝固術の利点でもあります。

扁桃摘出術との比較

扁摘と凝固術の特徴をまとめると、以下の様になります。凝固術の方が効果も合併症もマイルドということが言えるかと思います。

  扁桃摘出術 扁桃凝固術
コンセプト 扁桃の全摘 扁桃の減量・膿栓形成の予防
適応 習慣性扁桃炎
病巣感染症
睡眠時無呼吸
慢性扁桃炎
軽度の睡眠時無呼吸
膿栓症
入院 10日間以上 不要
麻酔 全身麻酔 局所麻酔
術後の食事 重湯、粥 刺激物以外は可
術後の痛み 強い 扁桃炎程度