耳介とは耳のうちでも外側にあって、普通に見える部分です。表面は皮膚に覆われていますが、中には軟骨があって耳の形を作っています。耳介が腫れるのは皮膚が炎症を起こしているのか、軟骨が炎症を起こしているのか、あるいは皮膚と軟骨の間に血液が貯まっていることが多いです。美容上問題になることもあれば、痛みを伴う場合、全身的に影響が及び発熱を来す場合もありますし、外耳道が塞がって難聴となることもあります。
問診で重要なのは耳をぶつけたり、掻いたりしなかったかどうかです。
耳をぶつけてから腫れたのであれば耳介血腫が疑われますし、掻いてから腫れたのならば皮膚や軟骨の細菌性の炎症を考えます。何も誘因が無くて腫れたのであれば、帯状疱疹などのウイルス感染のこともあります。耳介血腫は格闘技やラグビーなど他の選手との接触のあるスポーツで出来ることが多いですから、特に学生やスポーツ選手では種目を確認します。
視診では耳介のどこが腫れているのか、皮膚表面の状態などをよく診ます。さらに、耳の中には異常がないかも診ます。さらには触診して、痛みがあるかどうか、腫れている部分の硬さがどうかなども診ます。
特別な検査はありませんが、原因を特定するため、血液検査で炎症の反応を調べたりすることはあります。
急性耳介血腫、慢性耳介血腫、耳介軟骨炎、耳介皮下蜂窩織炎、耳瘻孔の混合感染、耳介帯状疱疹など。
急性耳介血腫ではピシバニール局注による硬化療法(当院でも施行可能です)が有効で、手術しないで済む例が多くなりました。
慢性耳介血腫では、ヘッドギアの着用などで進行を止めるしかありません。
細菌性の炎症には抗菌剤の内服、軟膏など。帯状疱疹の場合は抗ウイルス剤の内服。
耳瘻孔があって感染を繰り返す場合には、手術的に耳瘻孔を摘出することが勧められます。