耳のこもり・耳のつまる感じ・耳閉感

概要

耳のつまる感じというのは、専門用語では耳閉感(じへいかん)といいます。耳閉感はごくありふれた症状で、誰でも1度や2度は経験していることと思いますが、原因はいろいろなことが考えられます。

診察

問診では聞こえは悪くないか、カゼをひいていなかったか、耳に何か入れなかったか、ストレスが多くなかったかなどを確認します。
視診は、顕微鏡もしくは内視鏡で耳の中を丹念に診ることにより、外耳や中耳の病変はおおよそ把握できます。外耳、中耳に異常がなければ消去法で内耳の疾患の可能性が高くなります。中耳炎があれば特に、鼻の中もよく診る必要があります。

検査

聴力検査(標準純音聴力検査)で難聴の有無や、もし難聴があればそのタイプ(伝音難聴なのか感音難聴なのか)を調べます。伝音難聴であれば、滲出性中耳炎の可能性が高くなりますので、ティンパノメトリィで鼓膜の響きやすさを確かめます。

考えられる疾患

外耳に原因のある耳閉感

耳垢栓塞(耳垢が外耳道につまってしまった状態)、外耳炎外耳道異物(水滴、髪の毛、綿棒の先端、子供ではプラスチックのおもちゃや消しゴムなど)

中耳に原因のある耳閉感

中耳に原因があるものとして最も多いのが、滲出性中耳炎です。大人も風邪引き後などになることがあります。原因は耳管の働きが悪くなることです。
その他の中耳疾患では、好酸球性中耳炎で高率に耳閉感を生じます。好酸球中耳炎は喘息にともないやすい中耳炎で、中耳に粘液が貯まることにより難聴を生じます。滲出性中耳炎に似ていますが、難治性ですし感音難聴も合併しやすいので注意が必要です。

内耳に原因のある耳閉感

内耳疾患では、急性低音障害型感音難聴で片側(まれに両側)の耳閉感が生じます。
メニエール病の発作時にも耳閉感が起こります。耳鳴やめまいを伴うのが特徴です。

治療

外耳道の異物や耳垢栓塞では、これらを取り除けば耳閉感は治ります。
外耳炎では耳の消炎処置と抗生剤内服など。
滲出性中耳炎、好酸球性中耳炎では、まずは鼓膜切開やチュービングで鼓室内の貯留液を除去します。鼻や副鼻腔に炎症を伴っていることが多いですから、鼻処置やネブライザー療法も行います。マクロライドの少量長期療法や、抗アレルギー剤内服を行うこともあります。好酸球性中耳炎では、中耳に直接ステロイドを注入する治療を行うこともあります。
内耳疾患で耳閉感を生じるのは、「内リンパ水腫」という病態が原因のことが多いですから、これを取り除くことが必要です。具体的にはストレスを避けることと、高浸透圧利尿剤の内服です。その他には内耳の代謝を助けるために、ビタミンB12やアデホスなどを内服することもあります。