音楽の音程が以前と違って聞こえる

概要

聞こえが悪くなった訳ではないのに、音程がずれて聞こえいるという症状が起こることが、稀にあります。音楽家や音楽愛好家など、音程の変化に敏感な方に多いようです。自覚はなくても聴力検査をすると、軽度の難聴が見つかることがあります。

診察

発症が急になのか徐々になのか、片側か両側かを思い当たるきっかけはないかなどを問診で確かめます。
視診では、鼓膜や外耳道に異常がないかを確かめます。

検査

聴力検査は必須です。本人が自覚がなくても、軽度の難聴のあることがあるからです。そのほか、耳管機能障害が疑われる時には、ティンパノメトリーなどを行い、鼓膜の響きが正常かを確かめます。

考えられる疾患

低音障害型感音難聴など、比較的軽度の感音難聴の見つかることがあります。また聴力検査で異常がなくても、ごく軽度の難聴や、dip型(ディップ型)感音難聴といってある特定の周波数だけが悪くなっていることもあり得ます。

薬の副作用

フラベリックという咳止めやテグレトールという抗てんかん薬で、音程が半音低く聞こえるという現象が起こることがあります。インターネットで最近一般の方が話題にしてるようです。文献的な報告は少ないのですが、音楽家や絶対音感のある方が気付くことが多いようです。薬の添付文書にも、頻度不明ながら聴覚異常(音感の変化等)が副作用として起こることがあると、記載されています。

治療

何かしらの難聴があれば、それに対する治療を行います。もし難聴がなければ、音程が違って聞こえることがどの程度生活の支障になっているかを確かめます。もし、さほど支障になっていないのであれば、その症状にあまり意識を向けないように説明します。多くの場合は一時的で、症状は回復することの方が多いのですが、まれにはっきりとした難聴となってくることもありますので、聴力検査で経過をみることは必要です。