急性低音障害型感音難聴

内耳の障害が原因で急に聞こえが悪くなったり、耳がつまった感じになる病気です。原因は内リンパ水腫といわれていますが、ストレスや過労が引き金になって起こることが多いです。数日から数週で治る方が多いのですが、長引いたり、繰り返したりすることもあります。ストレスが引き金になることが多いので、ストレス難聴ともいわれます。

発症のメカニズム

音は空気が振動することによって伝わり、耳の中では物理的なエネルギーとして最初は捉えられます。これを神経の興奮という電気的なエネルギーに変換するのが内耳の役割です。 内耳は外側に骨迷路、その側には膜迷路という2重の構造になっています。

骨迷路の中には外リンパ液が、膜迷路の中には内リンパ液が入っていて混じり合わない様になっています。 急性低音障害型感音難聴では内リンパ液の量が過剰になり膜迷路が膨らんでしまったり、膜迷路に小さな穴があいたりして神経を興奮させるエネルギーを上手く作れなくなってしまうのです。 低い音だけ、聞こえが悪くなるのは、内耳の中でも低音を感じる頂回転付近が特に、内リンパ水腫の影響を受けやすい構造になっているからです。

発症しやすいのは?

当院のデータによりますと全体の7割が女性で、3割が男性でした。一般的にも女性に多いということが言われています。年齢層では30代から40代に多い傾向があります。季節的には春から秋にかけて多く、冬は少ない傾向があります。

症状

耳がつまる感じが最も多く、次いで難聴、耳鳴り、自分の声が響く、聴覚過敏などがあります。片側だけのことも両耳のこともあります。軽いめまい感を伴うこともあります。

治療

薬による治療が中心となります。多くの場合、入院は必要ありませんが、難聴が高度である場合や、治療しているにもかかわらず、難聴が進行する場合には入院が必要になることもあります。

• 浸透圧利尿剤:イソバイド、メニレットゼリーなどがあります。内リンパ水腫の軽減に効果があります。

• ビタミンB12製剤:メチコバール。内耳の代謝を助けます。

• ATP製剤:アデホス。内耳のエネルギー源となります。

• ステロイドホルモン:プレドニンなど。内耳の炎症を取り除いたり、過剰な免疫反応を抑えたりします。

日常注意することは?

• ストレスをためないこと。

• 睡眠、休息を充分は充分にとりましょう。

• 少し汗ばむ程度の有酸素運動をするようにしましょう。

• 水分補給を忘れないようにしましょう。 (脱水は症状を悪くしやすくする可能性があります。)

予後

多くの場合、数日から数週間以内で治りますが、中には長引くタイプ、繰り返すタイプもあります。この疾患から、同じ内リンパ水腫が原因で起こるメニエール病に移行することもあります。